イブニング・セッション
8月5日
1: 後藤 英、比嘉 了、johnsmith、鈴木智大
後藤 英 / Suguru Goto コンセプト・サウンド 作曲家、ニューメディア・アーティスト。
国際的に評価されており世界活地で活躍。 オーストリアのアルスエレクトニカにてデジタル・ミュージック&サウンド・アートの栄誉賞を受賞などが挙げられる。作品は世界各国の音楽祭、レゾナンス/IRCAM、タングルウッド音楽祭、ICC、SONAR、 Haus der Kultures der Welt、ISEA、NIME、ヴェネツィアビエンナーレなどにて演奏されている。 ボルドー芸術大学准教授、 IRCAM招待作曲家、研究員を経て、現在、東京藝術大学、准教授。
比嘉 了 / Satoru Higa プログラム・ビジュアルアート
1983年生れ。プログラマ/ビジュアルアーティスト リアルタイム3Dグラフィックス、コンピュータービジョン等の高度なプログラミング技術と多種多様なプロジェクトに関わった経験を生かし、インスタレーション、舞台演出、VJing、ライブパフォーマンス、VR作品など幅広い制作活動を行なう。2015年よりラボスペース backspacetokyo を設立。
johnsmith ハードウェア・テクニカルサポート
多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現研究科修了。Universität der Künste Berlin 交換留学。Kunstuniversität Linz 交換留学。国内外で舞台表現やインスタレーション制作のテクニカル、設計などを行う傍、メディア考古学、サウンドアート、パフォーミングアート、インスタレーションなどの研究、作品制作を行う。
鈴木智大 / Chihiro Suzuki アシスタント・プログラミング アシスタント/プログラミング
北海道大学文学部で認知心理学を学び、日本大学芸術学部に再入学。同大学院芸術学研究科に在学中。電子音響音楽の研究に従事する傍ら、TVCM・舞台芸術・インスタレーション・デバイスなどの制作に携わる。東京藝術大学COI若手連携にプログラマとして参加。
発表内容
gravityZERO, ヴァーチャル・エンヴァイロメントにおけるインスタレーション作品
今年の1月に発表されたインスタレーション作品、GravityZEROの解説を行う。Maxにより制御部分を中心に技術的解説も行われる。
GravityZERO(グラビティーゼロ)は、映像、サウンド、ロボティックスを組み合わせたインスタレーションである。 半透明立方体が会場に組み立てられ、映像がホログラフィーのように投影され、 複数のスピーカーがキューブの面の それぞれの方向に配置されている。
人間を想定したマネキンはは天井から吊るされ、重力がないかのように宙に浮かぶ。 それぞれのロープはモーターによって操作されることによって、3Dでキューブないの空間を自由に移動できる。
今作は、身体に密接に関係したインターフェイスを利用した、またオーギュメンティッド・リアリティ(拡張現実)とプロジェクション・マッピングのパフォーマンスの新しい可能性を追求する作品となる。 つまり、聴衆はヘッドマウンティッド・ディスプレイを装着することによって、マネキンの頭に取り付けられたバイノーラルマイク、カメラを通して、あたかも自分が無重力状態で浮遊しているような空間を経験することができる。
http://gotolab.geidai.ac.jp/gravityzero/index.html
2: 喜安 伸彦
略歴
プログラマー。愛媛県松山市出身。電気通信大学大学院を卒業後、都内のSE勤務を経て、2018年より株式会社ホロラボにてMRアプリケーションの開発に携わる。
発表内容
m4lとhololensを用いた、MR空間における演奏および作曲支援システムの提案
現在開発中の、MR空間における演奏および作曲を支援するシステムを紹介します。
MRとはMixed Realityの略で、現実空間上にインタラクション可能なオブジェクトを重畳表示する技術です。 Microsoft社が開発・販売しているMR機器であるHoloLensを使用し、MR空間上に表示されたオブジェクトを操作することで演奏及び作曲を支援するシステムを現在開発中です。
スクリーン上で行われるDAW上の作曲では、画面が2次元であるがゆえにシンセサイザーやタイムラインのオートメーションの表示に制限があり、頻繁な視線移動および画面切り替えが必要となります。 これを3次元空間に展開することで、情報の視認性と操作性の向上を狙います。 また現実空間に重畳表示するMRである利点を生かし、楽器演奏とUI操作の視線移動を抑えます。
演奏およびパフォーマンスの面では、視線入力を持つHoloLensの機能を利用し、UI操作に手を使わず演奏に集中できるシステムを検討中です。
実装はHoloLensアプリをUnityで作り、ソケット通信でPC上のm4l、Ableton Liveと相互通信します。
(動画 : HoloLensからableton liveのsession viewを呼び出し、操作を行う)
https://www.youtube.com/watch?v=qCe6DN-10BQ&feature=youtu.be"
8月6日
1: 平♯ 重行
略歴
1970年生まれの8bitマイコン世代。普段はジャズ・ポピュラー系のピアノ演奏活動も行っている大学の理工系教員。コンピュータプログラミングと音楽演奏は小学生時代から始めて未だに続いている。Maxに初めて触れたのは1994年だが、どういう訳かそこではゲームを制作していた。自身の仕事や作家のサポートなどでMaxやC/C++等での信号処理のプログラミングやアプリケーション開発を行いつつ今に至る。2000年前後に開催されていたMaxサマースクールにはよく出没していた。
発表内容
日常生活場面での音楽・楽器の展開とMaxでのそれらの実装
この15年以上、スマートハウス関連技術とそのユーザインタフェース研究を行ってきています。その中でサウンド・音楽の処理や楽器の機能を実際の住宅において日常生活に溶け込ませる仕組みをいろいろ試作実装して、システム化しています。今回のプレゼンテーションでは、それらシステムでのMaxの活用方法について紹介します。
2: 松尾 謙二郎
略歴
福岡出身
音楽制作会社インビジブル・デザインズ・ラボ代表
アートクリエイティブユニット invisidir_主催
インビジブル・デザインズ・ラボ代表 作曲家、サウンドアーティスト、クリエイティブディレクター、テクニカルディレクター「音楽を拡張する」というテーマで多角的クリエイティブをつづける。 その幅の広いスタイルから多くの音楽表現に挑戦し続ける。デジタル、アナログを超えて「表現」としての音を革新していっている。アートと広告の壁を超え、産学の壁も超えるフォーマットを常に考えている。 受賞歴 CANNES LIONS4受賞 ADFEST:グランプリを含む多数、SPIKES ASIA5受賞など他多数
発表内容
音楽とロボティクス、ハードウエア制御の実例
今までやってきた音楽とハードウエア制御における実際の例を maxプログラムを交えて解説。 インスタレーションにおける考え方や使い方、音楽とハードウエアの今後も含めて 独自の見解を解説。
3: Jeffrey Lubow(CNMAT)
発表内容
odot: multi-platform processing of OSC messages
I introduce “odot”, a set of Max externals providing hooks into a research language (similar to LISP) and newest iteration of an internal OSC protocol that CNMAT has developed. Emphasis will be placed on the “odot bundle”, which extends the basic Max data types and allows the Max programmer to use a model of aggregation of data inside of Max. One advantage that can be discussed from this is how it interfaces with the [dict] object and related data structures.
8月7日
1: 北爪 裕道
略歴
幼少時よりピアノとソルフェージュを、次いで作曲理論、指揮法、コントラバスを学び、東京芸術大学作曲科に入学。並行して桐朋学園大学などで指揮を学ぶ。その後、文化庁新進芸術家海外研修制度、ロームミュージックファンデーションなどから給費を得てパリに滞在。パリ国立高等音楽院作曲科第一課程および第二課程をともに首席で修了。IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)作曲・コンピュータ音楽課程修了。様々な団体・個人から委嘱を受け作曲された作品群は、各地の音楽祭やコンサートなどで演奏され高い評価を受けている。また指揮者としても多くの演奏会に依頼を受け出演、特に20世紀以降の音楽上演や、国内外の作曲家の新作初演を多数手がけた。現在、東京芸術大学作曲科、桐朋学園大学作曲理論科および附属音楽教室講師。
発表内容
器楽ライブ演奏に同期する自動演奏ピアノの制御法(ヤマハ・ディスクラビアの使用例)
昨年作曲、初演された私の「自動演奏ピアノ、2人の打楽器奏者、アンサンブルと電子音響のための協奏曲」では、自動演奏ピアノが指揮者のテンポに合わせてほかの楽器群と正確にシンクロし共演しなければならない。そのために採った演奏実行法を、実際のパッチとともに紹介する。
同作品は今年8月31日にサントリーホールにて、また、それを拡大・発展させたフル・オーケストラバージョンが11月1日に東京オペラシティにて、それぞれ上演される。
2: 有馬 純寿
略歴
1965年生まれ。エレクトロニクスやコンピュータを用いた音響表現を中心に、現代音楽、即興演奏などジャンルを横断する活動を展開。これまでに数多くの演奏会で音響技術や演奏を手がけ高い評価を得ている。第63回芸術選奨文部科学大臣新人賞芸術振興部門受賞。2012年より現代音楽アンサンブル「東京現音計画」を開始、第1回公演が第13回佐治敬三賞を受賞。現在、帝塚山学院大学人間科学部准教授。京都市立芸術大学非常勤講師。
発表内容
Maxの変遷とプログラミング方法の変化
Max発売30周年にちなみ、Maxの登場から現在までの流れと、各時代ごとのプログラミング手法の変化について俯瞰していきます。
8月8日
1: 磯部 英彬
略歴
1982年山梨出身。作曲及び音響技術、コンピュータ音楽を土屋雄氏に師事。コンピュータを中心とした作曲活動のほか様々な他の作曲家の電子作品のオペレータを担当する。またセンサーを活用した電子楽器の製作や演奏補助機器等の開発なども行っている。自身の主要な作品は日本をはじめ、オランダ、ドイツ、韓国などで演奏されている。 東京音楽大学非常勤講師。
発表内容
映像操作電子楽器“ヴィデオロン”の構造と運用方法について
“ヴィデオロン”は“映像を演奏する”というコンセプトで製作をした楽器である。 この楽器は作曲家の山本和智氏との共同開発により2017年に完成した。
楽器の構造は大きく2つのブロックで構成されており 一つは演奏情報を取得するためのarduinoを使用した楽器のセンサー部分、もう一つは演奏情報から音響と映像を生成するためのMAXの部分である。 今回は“ヴィデオロン”の製作過程の解説及び演奏会における楽器の運用方法等の説明をする。
2: 田所 淳
略歴
前橋工科大学准教授 / 東京藝術大学非常勤講師 / 慶應義塾大学非常勤講師
1972年生まれ。クリエイティブコーダー。アルゴリズムを用いた音響合成による音楽作品の創作、ラップトップコンピュータを用いた音と映像による即興演奏などを行う。大学では、openFrameworks、Processingなどの「クリエイティブ・コーディング」についての講義を行う。講義資料はWebサイトで公開、多くの学生やクリエイターに活用されている。著書に『Processing クリエイティブ・コーディング入門 – コードが生み出す創造表現」技術評論社 2017 など。
発表内容
MaxユーザーのためのSuperColliderのススメ
Maxは長い歴史の中で多くのユーザーを持つコンピュータ音楽のためのビジュアルプログラミング言語であり開発環境です。しかし、Max以外にもリアルタイムで音響合成が可能なコンピュータ音楽のためのプログラミング言語はいろいろ存在しています。このセッションでは、Maxほどの歴史は無いものの20年以上の歴史を持ち多くのユーザーによって使用されているSuperColliderというプログラミング言語を紹介します。Maxユーザーのために、SuperColliderでの音響合成の考え方をMaxのパッチに変化しながら、その考え方、プログラミングの手法について解説していきます。